そのステンドグラスは本物か偽物か【真偽と価値の見極め方】理想のステンドグラスに巡り合いたいあなたへ



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ステンドグラスの真偽を見分ける方法

ステンドグラスとは、ガラスが金属などで囲まれて固定され、柄や絵になったものである。

ガラスではなく樹脂などで作られた、ステンドグラスを模した物、ステンドグラス風シールは、ステンドグラスではない。ガラスを樹脂でコーティングしたものも、表面が樹脂ならばガラス特有の光沢がないので、ステンドグラスではない。

つまり、ステンドグラスの真偽を確認するには、ガラス部分が本当にガラスか、樹脂やシールなどで覆われていないかを確認すればよい。

ステンドグラスに近づけない場合は、ガラスピースの形状でもある程度は真偽の判定ができる。カットできないような形状のピースが使われたステンドグラスは、ほぼ偽物と思って良い。

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本物のステンドグラス

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偽物のステンドグラス

ステンドグラス stained glass → stain + ed glass

stainという単語は色々な意味を持つが、この場合は、着色する、焼き付けるという意味の動詞で、それがed:受動態になっているので、直訳すると以下のような意味である。

着色されたガラス → 色ガラス

焼き付けられたガラス → 絵付けされたガラス

古代、ヨーロッパの教会や寺院などにあった、絵付けされたガラスが鉛で囲われているものがステンドグラスの起源であり、当時は貧しい人の聖書として機能していた。現代では、主に鉛などの金属で囲まれたガラス片が集まって模様や図柄になったもの全般がステンドグラスと呼ばれ、人々に恍惚感と安らぎを与えている。

もう少し広い意味では、金属以外の素材でガラスが隔てられたものも含まれる。例えば東京女子大学のステンドグラスは、分厚いガラスがコンクリートで囲まれている構造だが、ステンドグラスと呼ばれている。ダル・ド・ヴェールも樹脂やセメントでガラスが繋がれているが、立派なステンドグラスだ。

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東京女子大学礼拝堂

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ダルドヴェール – 霊南坂教会

ただ流石に、ガラスが使われていなかったらステンドグラスと呼べない。そこだけは譲れないところだ。

価値のあるステンドグラスとは

ガラスが囲われて図柄になったものがステンドグラスだということは分かった。では、その価値はどうやって決まるのか。

一般的に、美術品・工芸品の価値は、以下の3つの要素によって決まるのが基本だと言われている。

「美的な価値」

最も大事な部分ではあるが、時代や文化、個人の好みに大きく左右されるので、一概に決めることが難しい。

「稀少性」

言わずもがなで、希少なものほど当然価値は上がる。

「需要と供給のバランス」

市場原理の基本でもあり、なんだかんだで価格のつくモノはこの点が最重要。いくらこの世に一つだけの美しいものでも、欲しい人が誰もいなければ価値はない。

また、ステンドグラスを手に入れようとすれば、以下のどちらかになる。

●既存のステンドグラスを購入する

●新たにオーダーする

これらを踏まえて、価値の高いステンドグラスはどのようなものなのか、具体的に考えてみる。

●入手不可能レベルのステンドグラス 

・大昔、おおよそ17世紀以前のステンドグラス

・マティスやシャガールなど、誰もが知る世界的巨匠クラスのステンドグラス

・フランク・ロイド・ライトのステンドグラス

ステンドグラスは、ティファニーランプなどの一部の物を除き、基本的に教会をはじめとした建物に入っているので、価格が図り辛い。売り買いできないので、需要も供給もへったくれもない。ただ、稀に外されたものが、巡り巡って市場に出たりもする。

ただ流石に上記のレベルの物は、最高の価値とは言えるが、入手は難しいだろう。


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America Windows – マルク・シャガール作 1977

●運が良ければ、何とか手に入るかもしれないステンドグラス 

・アーツ・アンド・クラフツ運動の頃の、名のある作者のステンドグラス

・19世紀末の絵付けステンドグラス、特にドイツ・イギリスのもので、名のある工房のもの

・ティファニーおよびその周辺のステンドグラス

・100年以上前の宇野澤系、小川三知のステンドグラス

・ミュシャやドゥースブルフなど、有名アーティストのステンドグラス

・ゲルハルト・リヒターや村上隆など、現代美術家のステンドグラス。

・ドイツの現代ステンドグラス(シャフラット、マイスターマンなど)

超高級志向、誰も所有していないステンドグラスを望む方は、これらを検討しても良い。

特に19世紀末頃の絵付けステンドグラスやティファニー周辺のステンドグラスは、ステンドグラス史上最高品質と言っても良いレベルで、現代で新たにオーダーしても、残念ながら同じレベルの物は出来上がらない。ティファニーはガラスのレシピが失われているし、この時代と同じレベルの超絶的な絵付けができる工房は存在しないのがその理由。

入手方法としては、オークションや、大手ステンドグラス制作会社で海外から古いステンドグラスを手配するパイプをもつ工房で交渉するというものが考えられる。


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聖シプリアン聖堂 – 1889年(明治22年)イギリス(工房・作者等不明)


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Poppy 芥子 – ティファニー社製 – ニューヨークランプ&ティファニーミュージアム 1920年頃


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Takashi Murakami – Flower Lamp 2011

●現実的に入手可能なステンドグラス 

・アンティークショップなどで売られている、古い無名作家のステンドグラス。

・現代に制作された既製品のステンドグラス

豪華な絵付けが施された古いステンドグラスは、風合いがあって良いものもある。

ただ、よくアンティークショップなどにある、19~20世紀ごろのの素朴でシンプルな英国ステンドグラスは、同じようなものが現代でも低価格で作れるので、それも検討した方が良い。

現代のステンドグラス工房が制作した既製品は、オーダーメイドをメインでやっているところが多いので、良いものは殆ど存在しない。逆に作家のステンドグラスには、展示に出したものなど良いものもある。

・日本国内の工房にオーダー

国内でこれぞと思った工房にオーダーすれば、指定のデザインで、好きなものが出来上がる。希少性や有名性という点以外は、ある程度、満足のいく結果が得られるだろう。

現代のステンドグラス用ガラスは、昔はなかった素晴らしいものが多くあり、技術的にも現代だからこそできる加工方法がある。デザイナーや職人のレベル・センスに大きく左右されるが、求めていたステンドグラスが手に入る可能性は十二分にある。

参考:日本における、ステンドグラス制作会社・工房のレイヤー

タイプ 説明
古くからの工房 戦前からの系譜があり、引き継がれる伝統の技を大事にする工房。歴史的建造物に入ったステンドグラスの修理も行う。
大手制作会社 公共施設や大型物件に入るようなステンドグラスを多く作る。個人邸や小物のステンドグラスは制作しない工房もある。
中規模の制作会社 2~5人程度で運営している、中規模工房。個人邸や店舗に入れるステンドグラスが中心。そんなに特殊なステンドグラスは作っておらず、いかにもなステンドグラスが殆どな印象。品質は一定しているところが多いか。
個人工房、作家 よく見かける普通のステンドグラスを制作する工房が多いが、中には他にはない凝ったステンドグラスや、デザイン性・アート性の高いステンドグラスを制作するところも。沢山あるので探し甲斐がある。
建材屋、その他 建材としてステンドグラスを扱っているような、ステンドグラスの良さよりも価格や利益を追求する会社。安価なガラスだけを使い、ステンドグラスにそこまでこだわりがない方をターゲットにしている。

個人の方がステンドグラスをオーダーするのであれば、これらの何処かに依頼することになる。こういった種類の工房があることを念頭に置き、失敗のない依頼先選びをして頂ければと思う。

●予算をかけられない、何でも良い人が選ぶステンドグラス 

・中国やその他海外製の安価なもの

・国内製の、建材として制作されるようなリーズナブルなもの。

価値のあるステンドグラスと題したが、分かり易さの為に、相対的に価値が低いステンドグラスについても挙げてみた。

ステンドグラスに限らずどんなものでも、大量生産品の安価なものが今の時代は溢れている。

世の中の平均的な需要に合わせて作られたそれらの製品は、使い捨ての日常用品ならまだしも、身近な場所に置いたり建物に入れるには、あまりにも薄味で淡泊なものが多い。

偽物の何がダメなのか?

全くダメではない。持ち主が良いと思えば良い。そのような方に対しては、偽物ステンドグラス呼ばわりするのも、大変失礼な話であり、申し訳ないと思う。ただ、

●本物の存在を知らずに、偽物を買ってしまわないように。

●本物でも、天と地の差があることを知らずに、安物買いをしてしまわないように。

●偽物なのにたいして安くもないステンドグラスもある。

と思うので、あくまで一般的なステンドグラスの価値の違い、というものを、述べさせ頂いている。

●とにかく、予算をかけられない。

●そこまで綺麗でなくても、ステンドグラスっぽければよい。

そんな方にとっては、ステンドグラス風装飾は賢い選択肢になるのかもしれない。

ただ、ステンドグラスはデザインが大事で、優れたステンドグラスデザイナーは、確実に本物のステンドグラスを制作する工房に生息している。好きこそものの上手なれ、なのだ。


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アニヴェルセルみなとみらい – フランツ・クサヴァー・ツェットラー作 バイエルン王国(現ドイツ)1895年頃

本物志向の方、真に価値のあるステンドグラスをお探しの方へ

まとめ。

ステンドグラスは、ガラスが何らかの部材で囲まれていれば本物のステンドグラスと呼べるが、クオリティーには雲泥の差がある。

理想のステンドグラスを手に入れる選択肢。

●既存の物を購入

100万~1000万ほど出せるのであれば、アーツ・アンド・クラフツ~アール・ヌーヴォーとユーゲント・シュティールの時代、19世紀末頃のイギリスやドイツの有名工房が制作した絵付けステンドグラス、ティファニー周辺のステンドグラスが、圧倒的なクオリティーを誇っているので自信を持ってオススメできる。ガラスの質や職人の技術力が違う。ただし、手に入るかは分からない。

他の有名アーティストのステンドグラスも、運が良ければ、手に入るかもしれない。

●国内の工房にオーダー

今はネットが発達しているので、好きなだけ探して気に入った制作会社・工房にオーダーすれば良い。

よくある感じのステンドグラスが良い場合は大手~個人工房をあたりを、

凝ったステンドグラス・特殊なステンドグラス・いかにもでないデザイン性の高いステンドグラスをお探しならば、個人工房やステンドグラス作家の中から探すと良い。

こんなところだろうか。

漠然とステンドグラスを手に入れたい、家の窓にハメたいと思っていても、馴染みのない方にとっては、真偽も価値の見極めも簡単な事ではない。

本記事が、理想のステンドグラスに巡り合いたいあなたへの一助となれば幸いだ。

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