ゲオルグ・マイスターマン【ステンドグラスデザイン】


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ゲオルグ・マイスターマン

ゲオルグ・マイスターマン(Georg Meistermann 1911‐1990)は、20世紀を通して精力的に活動した、ドイツ人のステンドグラス作家。ドイツの現代ステンドグラスを語る際には外すことができない程の重要人物として、知られている。

刃物の町として有名なゾーリンゲンで生まれ、最初は画家としてキャリアをスタートさせた彼。ただ、キュビズムの影響を強く受けたその前衛的な作風により、当時のナチスから非難の対象になってしまう。その後、戦争が終わるまでの何年かは、画家、美術教師として慎ましく過ごしていたようだ。

その後、戦後復興の潮流に乗り、戦争で破壊された教会や修道院を中心に、数々のステンドグラス作品を残していくことになる。彼の制作するエッジの効いたステンドグラスは、一目見たら忘れられないような、いや、逆に目を背けたくなるようなインパクトを持ち、否が応にも注目を集めることになる。

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抽象絵画をそのままステンドにしたような、自由過ぎるほどの自由さ。そう、それは、現に抽象画を描く画家であったのだから当然と言えば当然で、実際にそのような手法でデザインしていたのだろう。

それ故、彼のステンドには、定規で描いたような真っ直ぐな線は殆ど見られない。原画を元に、線をケイムの線と絵付けによる線に置き換えて制作されている。そして、ガラスの色による色面の表現が秀逸。原色に近い強い色を使うことが多いが、それでも下品にならずに上手く纏めることができる手腕。それは、無彩色を上手く使い、目立たせたい色を目立たせる術を良く知っていたのだろうと推測できる。カラフルなガラスの、それ自体の綺麗さを活かすのが抜群に上手い。

教会やその関連施設に入れられた彼のステンドは、聖書の一場面をモチーフにしているのだろうと思われる。が、なぜかダークなテイストが全体的に強い。こんなデザインは、日本では通らないだろう。これが許される外国が羨ましいとさえ思う。そしてそれが、彼の作品の、全体の魅力の底上げをしている気がする。器の大きな作風なのだ。

あと、マイスターマンは、前にご紹介したプリッカーにも少しだけ通じるところがある。線の集積による良い意味でのクドさや、カラフルな色使いの上手さなどが。プリッカーはマイスターマンより前の世代の作家ではあるが、同じドイツで過ごした時期は、実は重なっている。もしかしたら、何らかの交流があったのかもしれない。

Georg Meistermann – Wikipedia(ドイツ語)

YouTubeの映像。高画質で沢山の作品を見られる。ステンドグラスの原画も。超オススメ。英語が分かれば、より楽しめる…。

マイスターマンのステンドグラス

Wikipediaの記述によると、彼は1千枚以上のステンドグラスパネルを作ったそうだ(実制作ではなく、原画・デザインだけだと思われるが)。そんな中から、何点かを以下にご紹介する。

開口の形からも分かるように、その殆どは教会や修道院などの宗教施設に入れられたステンドグラスだろう。その点はシュライターシャフラットと同様だ。

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これも聖書の一場面を描いたのだろうが・・・、とてもエッジが効いている。

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モノクロを基調とした中にビビッドな原色を入れてそれを際立たせる手法が秀逸だ。


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骸骨がナイフを振りかざす…これも聖書の一場面!?


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赤と緑、黄色と青、といった補色に近い色を上手く使った一枚。左下に入った文字の適当なレイアウト感も良い。

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それにしても、この線の集積ったら…。

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ほぼすべての色味を使っているが、調和が感じられる。


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より抽象寄りのステンドグラス。それでもやっぱり、規則正しい線は見当たらない。


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比較的新しいと思われる1枚。ドイツの有名なガラス工房であるDERIXの文字がある。

マイスターマンのステンドは、私の中の、自分自身も気付かないような、凝り固まった固定観念や殻を壊してくれるようなステンドが多い。それって…ありなんだな…という感じに。テキトーだな~wと思うところも多いが、大事なのは適当か真面目かではなく、良い作品かどうかである。もっと自由でいいんだよ、何をやってもいいんだよ、と、語りかけてくれるようでもある。

一人の作家をある程度掘り下げて見ていくと、その人の代表作と言われるようなモノよりも、もっと世間的にはマイナーなモノが、良いと思えることが殆どだ。マイスターマン然り、シャフラット然り。だからこれからも、優れた作家のステンドを、表面的ではなくその先まで良く見て、沢山見て、自身の血肉としていきたい。

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